このテキストは熊本県玉東町の「地域全体で子どもたちを自立した消費者に育てたい、子どもと大人が気軽にお金のことを話せるような町にしたい」という思いから、平成25年度熊本県消費者教育活性化事業により、消費者教育NPO法人お金の学校くまもとが委託を受け作成しました。
実践を推進するために、玉東町職員全員をはじめ玉東町の2つの小学校に配布しています
はじめに
お金は生きていくための道具です。そのためには、お金という道具の使い方を身に着け、上手につきあうための技術や知識が必要となります。その方法のひとつが、お金について「話す」ことです。でも、どう話せばよいのか、なにを話せばよいのか、誰もなかなか教えてくれません。
実際に、誰かとお金の話をしてみると、「お金に対しどう思うか」「お金を何にどう使うか」など、お金の感覚には個人個人で違いがあることが分かります。家柄、土地柄、国柄といった違いもあれば、一人のひとの中でも年齢によってその感覚は変化していきます。
この本は、人生の様々なステージを想定した10の話題(物語や場面)を示し、そこからお金について考え、友だちや家族など周りのひとたちと話し合うことを通して、互いのお金に対する感覚や価値観の違いを知ったり、お金について話す・考えるときに必要なポイントを挙げることにより、消費者として必要な思考力を磨いていくことを目的に作りました。お金の仕組みやモラルについて説くものではなく、対話を基本とした消費者教育のテキストとして活用することを念頭に置いています。自分ひとりで考えたり、家族や周りのひとと一緒に考えるためのワークシートを入れることにより、お金について「話す」ための工夫をしました。また、玉東町の伝統工芸品である「木葉ざる」(悪いことは、「見ない」・「言わない」・「聞かない」の三猿)を基に、逆さ木葉ざる(いいこと・ためになることを、いっぱい「見る」・「聞く」・「話す」三猿)をイメージキャラクターにしました。
さらに、今の自分が考えたことを記入する欄と数年後の自分がそのときに考えたことを記入する欄を設けることにより、生きていく中で「いつでも」「家庭や学校や職場」で、「家族や個人」で、何度も見直し、自分の「お金に対する感覚」の変化や「消費者としての力量」の高まりを知ることができるように工夫しています。