続コミュニケーション考

明けましておめでとうございます。

みなさん楽しい正月をお迎えの事と思います。

 

昨年は、政府から多重債務問題改善プログラムが発表され、12月には全国一斉に「多重債務相談ウィーク」が実施されました。

今年はより具体的に多重債務対策を進める年になります。

熊本県でも、昨年熊本県多重債務対策協議会を発足させ、さらに今年は、熊本県消費生活条例を改正し多重債務対策を明記します。

消費生活条例に多重債務対策を明記するのは、全国で初めてのことです。

 

さて、前回私はこのコラムで、「今、多重債務の未然防止のための教育で一番必要なものは、コミュニケーション能力だと考えています」と書きました。

相談者の話をお聴きすると、問題の根っこはコミュニケーションだと痛感することが多いからです。

例えば、妻に内緒で消費者金融から借金をした男性がいました。

妻はとても几帳面なタイプで長年家計簿をつけていました。

が、その男性にとっては、妻の厳しすぎる家計管理は自分の生活を窮屈にするものでしたし、そんな妻に、借金をしたとはとても言えませんでした。

男性の身勝手な言い分かもしれません。

しかし、せっかく妻が家計簿をつけても、それが原因(のひとつ)になって家族が破綻したのであれば、こんなに悲しいことはありません。

妻は、けっして夫を苦しめるために家計簿をつけていたわけではないでしょうが、家計簿を通じて、コミュニケーションを図るということができていませんでした。

 

多重債務の問題の根っこは、「言えない」「相談できない」人間関係にあるのではないでしょうか。

言えないこと、相談できないことを守り抜くために借金をし、多重債務のワナ(高金利・過剰貸付・自動契約機・安易なCM・ヤミ金・違法な取立てetc.)に引っかかってしまう。

多重債務のワナが待ち構えている同じ社会に暮らしていても、人間関係が良好で、気軽るに話せる、相談できるひとがいれば、多重債務に陥ることを防げる場合もあります。

周囲のサポートで防ぐことができるという意味では、多重債務に陥る個人的な内的な要因も、社会的な問題だと言えるのではないでしょうか。

 

インターネットやケイタイなど、言葉だけでのコミュニケーションが急増する中、子どもたちの能力に不安を抱きます。

教育の場での取り組みの必要性を強く感じます。

コミュニケーションの教育も消費者教育のひとつです。

高金利や過剰融資など貸し手へのアプローチは大きく進みました。

これからは、借り手へのアプローチにも力を入れていかねばなりません。

「お金の学校くまもと」もより忙しい1年になるのではと期待しています。

2008年 1月 会報 第8号より