徳村的リーダー論 ー国民的アイドルからの考察ー

みなさま、新しい年をいかがお迎えでしょうか。困ったときのJohnny’s頼み。

今年も「嵐」ネタで始めさせて頂きます。

 

さて、今や国民的アイドルと呼ばれる「嵐」ですが、昨年結成15周年を迎えました。

NHKでもハワイでのライブに密着するドキュメンタリーが放送されました。

その中で、やはりこの人って、本物のリーダーだなあと感じる場面が二つありました。

 

一つは、デビューして数年鳴かず飛ばずの頃の話。

現在の仕事を全て投げ打って全く違うことをやろうと持ちかけた翔ちゃん(櫻井 翔)とJ(松本 潤)。

5人でその話し合いをしている時、頑なに首を縦に振らなかったのが、マイダーリンのリーダー智(大野 智)。

いつもは、何を言っても「わかった。わかった」としか言わない智が、この時には、こう言ったのだそうです。

 

「今できることをがんばれないやつが、何をがんばれるんだ」。

 

以来、ニノ(二宮 和也)の仕事に対する指針は、この「今をがんばる」になったそうです(ええ話や~~~)。

 

二つ目。ニノが腰を負傷した場面がありました。

ニノは、足がしびれて力が入らないと訴えます。

しかも、次の登場は、高いジャンプが見せ場のシーン。

腰に大きな負担がかかります。ニノに心配そうにかけよるJ。

 

J『ニノ、ジャンプアップやめる?』、

ニノ『あ、大丈夫、大丈夫!』、

J『イケる?』、

ニノ『うん』、

J『スライド(直立したままゆっくりと奈落から上がっていく)でもいいよ』。

 

そこに、智がJの後ろから声をかけます。

 

智『スライドにしようよ』、

ニノ『スライドの方がいい?』、

智『うん』。

 

ニノの様子を見て、Jが『(スタッフにむかって)スライドアップ!!

キューは自分たちで出す。』と指示。

そして、何事もなかったように、それに従う翔ちゃんと相葉(相葉 雅紀)ちゃん。

ここまで、約1分間のやりとり。

ライブの途中で躊躇している時間はありません。

状況をみて、素早く判断をする・させる。これは、相手をよく知り、よく見ていないとできません。

 

智を好きな理由はいくつもあるのですが、コミュニケーション力にもホレてます。

相手が今なにを求めているのか、それを言葉ではなく身体的な面から感じ取ることができる。

それに、常に相手の様子に気を配っているって感じでしょうか。

 

智は、中卒です。お勉強が得意ではなかったようで、たくさんの言葉を持ちません。

台本の「人質」という漢字が読めません。

それでも、とても上手にコミュニケーションができていると感じます。

きっと、身体的なコミュニケーションが上手なのだと思います。

また、言葉をたくさん持たないからこそ、出てくる言葉がストレートで簡単でわかりやすいのかもしれません。

 

斉藤 孝氏の「コミュニケーション力」(岩波新書)の中の、『「言語的コミュニケーション」は、「身体的コミュニケーション」を基本にしている』という言葉を思い出しました。

さらに、「お互いに意味をしっかりつかみ合い、同じチーム、パートナーとして、トラブルに向き合う。

言葉を交わし合い、行き詰まりを共有しながら、新しい意味が生まれるのを待つ」なんて記述も、まるで「嵐」や「智」のことを説明しているようです。

大野 智の魅力にハマると二度と抜け出せない、まるで病気のようだということで、Satoshi + sick=サトシックというのだそうです。

 

わたくし、かなり重症です。

2014年 11月 会報 第29号より