「思い」がある行政

先日、ある行政職員の方に業務連絡のメールをしたところ、返信メールに次のようなことが書いてありました。

「何処までできれば、(施策として)出来ているという評価なのか…関係機関や関係者も相手の非難をするのではなく…前向きに、協力できればいいですよね。」

どうやら、ある法律家から熊本県の対策が遅れていると厳しく指摘を受けたらしく、悩んでおられる様子でした。

これを読んだ私は、とってもドキッとしました。

8月末に行われた県政の外部評価委員会において、ある課が提出している内部評価表の記載に対し、厳しい意見を提出していたからです。

 

たとえば『「県庁内の○○○○関連の施策を実施する部局からなる「熊本県○○○行政推進本部」において総合的かつ計画的な○○○施策を推進する」とあるが、具体的に何をするのかイメージもつかめない。県民がこれを読んでも意味がわからないと思う。記入スペースの都合もあると思うが、具体的な取組みについて記載すべきである』

 

たしかに、相手を非難するのではなく協力することが大事です。

自分も相手を非難(欠点や過失などを取り上げて責めること)するのではなく、協力するための批判(物事に検討を加えて、判定・評価すること)を心掛けたいなあと思った次第です。

また、この職員さんはこのようにも書いています。

「○○対策のために、本当に必要な方へ手の届く施策は何かなって結論が出ないのが現実です。支援の対象者は、多重債務者だけではないし…子ども世代の生きる力を付けることが、将来の力になると思うのですが…思いばかりで…時間が足りません」。

行政の職員の方もいろいろですが、このような「思い」をしながら、日々悩みながら、真摯に「思い」を込めて業務に取り組んでいる方もいることを、広く県民に届ける必要があるなあと思います。

 

事務連絡は終了したものの、どうしても返信したくなり次のようなことを書きました。

「問題の背景が複雑多様である限り、結論は出ないのではないでしょうか。だから、常に、何が必要かをいろんな立場のものたちが、一緒に考え続けることが大事なのかなと思います。行政が行う施策の根っこは、「思い」です。「思い」がある職員さんが県庁におられて本当によかった。これまで、行政には「思い」がない、形ばかりの事業がなんと多いことか…と落胆しておりました。○○さんをはじめ、担当課の方々と出会って行政との仕事が本当に楽しくなりました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。」

 

今後は、協働行政のあり方についても、少しずつまとめていけたらと思います。

2010年 9月 会報 第18号より