「家族」についてどう教える?

お金の学校くまもとでは、小学校高学年向けに「人生いろいろやりくりゲーム」を開発し実施しています。

このゲームは、6人で1グループになった子どもたちが、祖父母や両親、子どもの役になり、ある一つの家族「人野家」を作ります。

そして、突然発生した出費に対し、家族で話し合いながらやりくり案を作成するロールプレイングです。

先日、ある小さな小学校の家庭科の授業でやってみたところ、一緒に参加してもらった校長先生から「いろんな家庭環境の子どもたちもいるので、(子どもたちが)どんな気持ちなったか、ちょっと気になりました」という感想がありました。

たしかに、子どもたちの事情をよく知る立場であれば、複雑な気持ちになるのは当然です。

細やかな性格であればあるほど、気になるでしょう。

 

この校長先生の発言から、本来、家庭科で「お金」や「家族」について考える単元があるにもかかわらず、積極的に取り組まない(取り組めない)現状を肌で感じました。

校長先生には、このワークのねらいや子どもたちの気持に配慮しながら、家族について考えることができるロールプレイングとして構成している事を説明しました。

ちなみに、ロールプレイングとは「立場が違う人の役割を演技で表わすことです。これによって、相手の立場や気持ち、自分の気持ちを理解し、人間関係の背景や解決方法を考えることができます」(中学校技術・家庭 家庭分野 183P 開隆堂)。

 

多重債務の相談を受けていると、家庭科の授業の重要性を痛感することばかりです。

たとえば「家庭によって、家族の人数や年齢などはさまざまですが、どの家族も健康で楽しく生活したいという願いは同じです。そのため家族は、それぞれが自分の役割を考え、家庭の仕事を分担するなどして、協力し合っています。」(小学校わたしたちの家庭科5年 4P 開隆堂)

「健康で楽しい家庭生活を送るためには、家族がたがいに協力し合い、一緒に過ごす時間を作ったり、生活に必要な金銭をじょうずに使ったりして、生活を計画的にすることも大切です。」(小学校わたしたちの家庭科6年 4P 開隆堂)

「ときには,家族の努力だけでは解決がむずかしい問題が起こることもあります。そのようなときには、友人や地域の人、自治体、ボランティア、NPOなど、家族以外の人びとの援助を求めることができます。そうすることで、家族関係の問題を解決できることもあります。」(前掲 183P)

 

家庭科の教科書は、お金の学校くまもとの活動の教科書でもあります。

2011年 3月 会報 第20号より