今年度、当NPOは厚生労働省の補助金事業「寄り添いホットライン」の一部を担当させていただくことになりました。
「死にたいほどのつらい気持ちを聞いてほしい方」を対象として、土曜日に6時間、月曜日に5時間、スタッフが交代しながら電話を受けています。
私は、これまで多重債務相談、消費生活相談ということで、相談を受けてきました。
その中で「死にたい。死のうとした。」という相談もありました。
この場合、相談者は「死にたいくらい苦しいので、どうにかしたい」という思いで相談に来ています。
ちなみに、「相談」という言葉を辞書で引くと「問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること。また、その話し合い。」と書いてあります。
しかし、「寄り添いホットライン」にかかってくる電話は、その多くが「相談」ではなく、「死にたいほど苦しい、つらい。その気持ちを誰かに聴いてほしい、わかってほしい」という場合のように感じます。
そのため、多重債務相談のように、相談者が抱えている問題を一緒に整理して具体的な解決方法を考えることが目的ではなく、ただ、その場でそのひとの話を聴き、寄り添うことが求められます。 この「寄り添う」ということが、私にとってはなんとも難しい・・・
先日、「朝ごはんを食べ終わったら、死にたい気持ちが起こってきた」という電話を受けました。
病気のため働けず生活保護を受けているという女性でした。
働けない自分は、なんてダメな人間なんだろうと思うと死にたくなるのだそうです。
どうにかこうにか話を聴いていると、その女性から「趣味は何ですか」と聞かれました。
私は、つい「ジャニーズです」と答えてしまいました。
すると、続けてどのグループが好きかと聞かれ、「嵐」だと答えると、すぐにだれが好きなのかと聞かれました。
このまま答え続けていいのかなあと、かなり不安になりましたが、「大野くんです」と答えたところ、「大野くんが好きということは、相談員さん、通ですね。」とまたすぐに反応がありました。
そのまま質問攻めにあい、「大野くんが年を取って人気がなくなっても、きっと年を重ねた魅力があるはずなので、ずっとファンでいると思う」「コンビニや本屋で雑誌をいくつも立ち読みして、悩みに悩んで数冊購入し、お気に入りの写真を切り抜いている」などなど、素直に答えました。
このようなやりとりがかなり続いた後、この女性は、自分も数年前までは、「B’z」のファンだったことを思い出したと言い「やっぱり、いくつになっても、ときめきは必要よね。生活保護でも雑誌を買うくらいしてもいいよね。切り抜きやってみようかな」と話してくれました。
そして、「これまでいろいろ電話したけど、今日の相談員さん変わってた。けど、これまでで一番的を得てた。ありがとう。これからもがんばってね」と言って電話が切れました。
はたしてこれは、「寄り添う」ことになっていたのか・・・
相談業務は、とってもとっても奥深い。まだまだまだまだ修行の道は続きます。