今、万葉集ブームなのだそうです。
きっかえは、平成に代わる新元号が、「令和に決まり、出店が日本最古の歌集「万葉集」からだったことから。
「万葉集」は、7~8世紀ごろ(奈良時代)に現在の形に近いものに、まとめられたと言われ、天皇や皇族、歌人、さらには農民など幅広い階層の人々が読んだ「約4,500首」の歌が収められています。
みなさんも学校の国語の時間で、耳にしたことがあることでしょう。
私は、小学校の頃から万葉集が大好きでした。
それは、図書館である一冊の本に出会ったからです。
清川妙(著)林静一(画)の本で、何度も何度も借りて返して繰り返し読みました。
林静一のイラストは、こつぶの梅のキャンディでもおなじみですが、添えられた挿絵は、歌とともに私を大人の世界に連れていってくれるのです。
今から考えるとなんともおませな子どもでした。
「あかねさす紫野ゆき 標野ゆき 野守は見ずや 君が袖振る」
有名な額田王の歌です。
野守が見ているかもしれないのに、大胆にも袖を振る(愛していますのサイン)あなた、大丈夫ですか。この歌の深い意味はわからなかった当時の私ですが、袖を振ってサインを送るという万葉人のアイデアに甚く感動したことを覚えています。
高校生になり、私は万葉集を読み返しました。
そして、ある日ある人に万葉集の中の歌の一つを便せんに書いて渡しました。
「秋の田の 穂向きの寄れる かた寄りに 君に寄りなな 言痛(こちた)くありとも」
秋の田の稲穂が実っていっせいに同じ方向に向くようにあなたに寄り添ってしまいたいものです。
人のうわさがどんなにうるさくても。その人は、学校の中でも目立つ存在でした。
彼女になるんだったら、かなりの覚悟が必要だと感じていました。
覚悟は持てない・・・けど、想いは伝えたい。で、覚悟を持つ前にそれよりも大胆な行動に出た私でした。
数日後、その人はこう言いました。
「意味がわからんだったけん、国語の先生に聞きに行った」その時のその人の「それで?」って言った時の柔らかい笑顔、とても恥ずかしかったこと、やっぱこの人はアタマいいなあと思ったこと、今も覚えています。
消費者教育の根幹のひとつは、意思表示。
好きなものは好き、イヤなものはイヤ。儲かりますよとか、簡単にお金が手に入る副業なんて言葉に、いとも簡単にひっかかってしまうひとは、話に主語がありません。
自分はどうしたらよいのか、どう考えるのか、はっきりしません。
子どもの頃から、万葉人のように、自分の気持ちを言葉にできるひとが増えたら、もしかすると消費者トラブルも減るのではないでしょうか。
ちなみに、今回のコラム、当NPOスタッフの鶴なつ子さんの五行歌(7P参照)に感化されました(/ε\)